原因はこころの弱さではなかった⁉うつ病の原因が脳にある根拠と最新のうつ病研究!

うつ病はこころの病ではなく、「脳が原因の病気である」そう聞いたときあなたは、どのように感じますか?

その通りだと納得しますか?それとも困惑し否定するでしょうか。

私が医療現場でこの発言をした時、多くの人はそれを頭ごなしに否定しました。

しかし、うつ病が心の弱さが原因の病気であるならば、その原因を取り除くことで完治しなければおかしいと思いませんか?

例えば上司からのパワハラが原因のうつ病であれば、その上司がいなくなれば心への負担はなくなりうつ病は完治するはずです。

しかしうつ病患者の多くは、病気の原因を取り除いたり治療をした後も、繰り返しやって来る抑うつ症状に悩まされているケースが多くみられます。

また、元々の原因とは関係のない事柄が切っ掛けとなり、うつ病が再発してしまうことさえあるのです。

その理由は、「うつ病がこころの弱さが原因で起こる病気ではないため」と考えると納得しやすいのではないでしょうか。

この記事では、私が作業療法士として病院や施設での業務を通して学んだ経験や知識をもとに、うつ病が脳の障害により引き起こされていることを説明していきます。

この記事が役に立つ人

・うつ病で悩んでいる人

・原因不明の気分の落ち込みや倦怠感が長期間続いている人

・うつ病に興味がある人

・知り合いにうつ病の患者がいて、病気の事を知りたい人

うつ病とは

冒頭でうつ病はこころの病ではないと言いましたが、正確には「こころに生じたトラブルをトリガーにして発生した脳の変異がもたらす病気」なのです。

このことを分かりやすくするために、ここからはうつ病についての説明をしていきます。

うつ病は、意欲・興味の減退、抑うつ気分、不安や思考能力の低下を主症状とする気分感情障害に分類される疾患です。

明確な発症原因は不明とされていますが、発病に至るおおよその要因は見当がついていて、【①体質】【②心理的ストレス】【③脳の変化】などの条件が複雑に絡み合い発病すると考えられています。

この3つの要因のうち、①と②の要因が一般に広く知られていることに加え、目に見える症状がないことで【心の弱い人がうつ病になる】といった考え方に結び付いていると考えられます。

私は作業療法士として、多くのうつ病を持つ方をかかわりを持ちましたが、その年齢・性別・性格は多岐に渡り、決して気弱な性格の人だけがうつ病を患っているわけではありませんでした。

このことから、要因①の「体質」とは、単純にこころや体が弱いという意味合いで受け取るべきではないことが分かります。

そして要因②の心理的ストレスは、単に心配事や悩みなどではなく、こころと体にかかる大きな刺激や疲労と考えた方が適切でしょう。

そうすると、「疲労や強い刺激を受け続けた結果、脳が変異を起こしてうつ病になった」と考えることができます。

このように考えると、うつ病はこころの病気ではなく脳の疾患であることがスムーズに受け入れやすくなるのではないでしょうか?

こころの居場所

うつ病が脳の疾患であるとしても、そのはじまりにこころがある以上、うつ病とこころを完全に切り離して考えることは出来ません。

それでは、こころとは一体何で、どこにあるのでしょうか。

その疑問については現在でも明確な答えは提示されておらず、今でも科学者の間で議論が続けられています。

しかしこころとは何か、どこにあるのかは断定出来ていないものの、「こころとは気分や感情の動き」でそれらをコントロールしている場所は「脳にある」ことが分かってきました。

つまりこころとは感情で、それをコントロールする場所は【脳】にある」のです。

脳の中でも特に「偏桃体」「海馬」「前頭前野」といった場所が、感情をコントロールしていることが判明しています。

これから、それらの感情を司る部位の説明を簡単にしていきます。

偏桃体

偏桃体は脳の中でも、【不安】や【恐怖】を感じ取る機能に長けています。

人間が強いストレスや不安を受けると、偏桃体はその情報を【副腎】に伝達し、【副腎】は「コルチゾール」などの「副腎皮質ホルモン」の分泌をはじめます。

コルチゾール

コルチゾールは炭水化物や脂肪、たんぱく質の代謝を制御するホルモンで、ストレスによって分泌が亢進されます。

コルチゾールが過剰に分泌されると、血圧や血糖レベル引き上げたり、免疫機能の低下や不妊をもたらす要因となります。

コルチゾールは体内に残留・蓄積していく特性があり、蓄積量が過剰になると【海馬】を委縮させてしまいます。

海馬

【海馬】は記憶を司る機能を持ち、偏桃体と共に「喜怒哀楽の感情」を生み出しています。

海馬は長い間、強いストレスにさらされると萎縮してしまうことが知られており、多くのうつ病患者の海馬に萎縮が認められています。

前頭前野

前頭前野は大脳の30%を占めており、学習を司る機能を持っています。

大まかな働きは【感情のコントロール】【思考・創造する】【共感する】などで、社会的活動を円滑におこなうためには非常に大切な部位です。

脳の変化(比較)

ストレスが続くことで脳が変化していくと、うつ病を発症しその期間が長ければ長いほど、脳が深く広く傷つくことになります。

また、【認知症】や【脳梗塞】などの脳が損傷される病気を発症すると、うつ病が随伴症状として出現することも確認されています。

最新のうつ病研究

2021年1月18日に『Nature Medicine』に興味深い論文が掲載されました。

この論文では重度のうつ病患者の脳に電極を用いて、電気を流すことで幸福を感じるポイントを探したり、うつ症状を改善する試験の結果がまとめられていました。

試験の結果その患者は幸福を感じることができ、うつ病の症状も大きく改善し日常生活を取り戻したとのことでした。

脳内に電極を刺して電気を流すというのは、何とも驚きの研究で信じられないかも知れませんが『Nature Medicine』 は『 Nature 』系列の権威ある科学雑誌なので、信憑性は十分でしょう。

これまでにも精神科分野の治療法には「電気ショック」を利用したものはありましたが、それは外部から電気を流すもので明確な効果出ているとは言い難いものでした。

そのため研究者たちは、患者一人一人に対して効果的な部位を探るために、脳に電極を刺すことを考えたようです。

この技術は、「神経マッピング」と呼ばれこの技術と、脳内に装着したチップを利用して患者の気分の落ち込みがあると、自動で電気を流して多幸感を得られるようになっているとのことです。

この論文の内容からも、うつ病の原因は脳にあり多くの学者がその研究していることが分かります。

まとめ

ここまで、当記事にお付き合い頂きありがとうござます。

この記事では、うつ病がこころの弱さから生じる病気ではなく、脳が変異したことにより発生する病気だということを説明してきました。

うつ病はこころの弱い人だけが発病するわけではなく、誰でもその発病リスクを抱えているのです。

さらに脳の変異が原因なので、努力や根性で症状が改善することはありませんし、発病の原因を取り除いても完全に回復せずに寛解後も抑うつ症状を繰り返すことになるのです。

脳が変異すると元通りになることは期待できないため、受傷した期間よりも遥かに長い時間をかけて、変異した脳に患者の意識と生活を適応させていくことになります。

このため、ある程度回復して社会復帰するのにも時間がかかります。

回復を焦らず、また焦らせることのないように気を付けて下さい。

また、うつ病から早期に回復するためには、早期の発見が鍵となるので、うつ病かも知れないと悩んでいる人は早急に病院受診することをおすすめします。

うつ病に悩む人もそうでない人もうつ病を正しく理解して、適切に対処することが、うつ病患者を取り巻く環境をより良くしていくために重要なことになります。

この記事がうつ病に悩む方や、その周囲の人達の助けになれば幸いです。

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